ざっくり読むための見出し
ジョブ理論~イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム~
今回も本ログです。
先日読んだ「イノベーション・オブ・ライフ」の著者であり、ハーバード・ビジネス・スクールの教授であるクレイトン・M・クリステンセンの著書である「ジョブ理論~イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム~」からの学びについて書きます。
こんな人にオススメ!!
- 自分の仕事に情熱を持って取り組んでいる
- お客様のために・世の中のためにと一生懸命働いている人
- これからどんどんサービスやビジネスの領域を広げていきたい人
には特に読んで頂きたい本です!
先日も大阪でバーを経営している友達にこの本を紹介しました。薦めた数分後には買っていました。(笑)
こういう風にすぐ動く人には、またいい本があったら薦めたくなります。
イノベーションのために必要な「なぜ」
僕たちはいつもお客様と直接お会いし、施術を行う「ストレッチトレーナー」という仕事をしています。
でも世の中の仕事がすべてそうかと言えば、そういうわけではありません。
時には自分の仕事が大きな仕事の一部を担っている仕事であるなんてこともあるでしょう。
先日金融関連の友達と話をしていた時に、そんな仕事の規模感の違いをヒシヒシと感じました。
その中で僕たちが担っている「ジョブ」というのはいったい何なんでしょう。
ストレッチトレーナーのジョブは、ストレッチをすることなのでしょうか。
銀行員の仕事はお金を貸すことなのでしょうか。
きっと違うはずです。
これを利用するお客様の立場に立って少し考えてみると、この本が言いたいことが少しずつ見えてきます。
お客様もしくは私たちは何故「ストレッチ店」に行くのでしょう。
なぜ私たちは「銀行からお金を借りる」のでしょう。
このお客様に問う「なぜ」こそが僕たちのサービスに隠された本当の価値です。
少し難しい言い方ではありますが、
【私たちが進歩のために引き入れる何か(用事・仕事・状況)を”ジョブ”】と定義しています。
つまり僕らが提供する”ジョブ”は、常にお客様の何かを進歩させるために引き入れられているということです。
ここまで書いて、「当たり前だろ。そんなこと!」と思う人がきっと多いはずです。
僕もこの本を読み始めた時に、「何を当たり前のことを、あたかも難しい事のように書いているんだ。」と思いました。
でも実はこんな一見当たらい前の事が、実は非常に難しいのです。
正しくは、難しくなってしまうし、見失いやすいものなのです。ここからそんな見失わない為に気を付けるべき3つのポイントをまとめます。
「なぜ」を見失いやすい3つのポイント
1.目的のすれ違い
最初に書いたようにの僕たちは常にお客様が「なぜ」僕らの”ジョブ”を雇用するのか?
という視点に立ってサービスを考え、見直していかなくてはなりません。
しかし、仕事をしていくと少しずつ問いが変わってきます。
「何を」
何をお客様は求めているのだろう。必要としているのだろう。つまり、「ニーズ」ですね。
お客様が今「何を」必要としているのかを考えるのです。
一見同じような言葉にも聞こえますが、実は違います。
ニーズに答えるだけでは不十分なんです。
私たちの仕事では「もっと柔軟性が欲しいです。」というお客様がいたとします。
これって、「何を=ニーズ」です。
でもこのお客様は「柔軟性を得て、どうなりたいのでしょう?」
つまり、”ストレッチ”がお客様のどんな進歩のために生活に引き入れられたのでしょう。
これが「なぜ」です。
一見同じようですが違います。他にも「誰を」など他の問いにもすり替わりやすいです。
違う視点で考えることは重要ですが、必ずこの原点に立ち返らなくてはなりません。
2.データは人が作成している
そしてビジネスを行っていると様々なデータを集め、分析し、改良を加えてより良いサービスや商品を目指します。
それは非常に大切な事ですが、実はここにも落とし穴があります。
「データ」は人が作成します。
そしてデータには「確認したい観点に自ら同調させる」という悩ましい性質があります。
私たちはデータをもとに物事を判断したり、成果を確認したりとデータを活用します。
データから多くの事を学ぶことができます。
しかし、このデータを活用する段階では「人」の主観が入り込みます。
自分の仕事に熱量もって真剣にやっていればやっているほどに、
チームの成果を信じて居れば信じて居るほどに、
データの「視点」には人の感情が乗っかります。
つまり、データは「切り取り方」によって姿を変えるのです。
これは「日本のマスコミと非常に似ているなー」と思っていました。
日本のマスコミも出来事の真実を見せることよりも、
断片的に切り取り、張り付けて、自分たちが見せたいように世の中に配信しているように感じます。
本当に切り取り方によって、全く違う印象を世の中に与えます。
今回のコロナ関連もそうですが、シンガポールに関して日本で配信されている情報と現地での感覚は全く違いました。
でも、使っているデータはあっています。間違ってはいません。でも事実は違う。そんなことがあるんです。
なぜならすべてをデータにすることはできないからです。
出来ない部分は人々の主観で繋ぎ合わされる。だから、データのみを頼りにすることは避けなくてはいけません。
3.仕組みと目的の乖離
最後は、会社や世の中の仕組みと”ジョブ”が必ずしも結びついているとは限らないということです。
これは非常に難しい問題です。
自分で変えられる立場にある人であれば、良いですがそういう人ばかりではないはずです。
そんなとき必ず葛藤が生じるはずです。
例えば、
僕が今の会社を引き継いだ時、私たちが普段スタッフ達に伝えていることと会社のインセンティブの仕組みがうまくかみ合っていないのです。
スタッフ達が私たちが普段「大切にしている」と伝えていることを実践しても、本人の成績に反映されることはありません。
全く違うことがインセンティブとして反映されます。
スタッフ達の利益と、会社の利益と、お客様の利益が同じ方向を向いていないのです。
もちろんこれをすべて全く同じ方向を向けるのは非常に難しいですが、その努力は必要です。
そして、これがなされていない会社では、人が離れて行くことを体感しました。
でも、悲しいことにこれらは必ずしも一致しているとは限りません。
そういう環境下ではどうしても、「なぜ」という本来の目的を見失いがちです。
まとめ
本日は「ジョブ理論」を読んでかんがえたこと、感じたことをまとめました。
これは実体験も載せて書ける内容だったのでこうしてブログに書きました。
僕自身普段仕事に没頭すればするほどにこの「なぜ」を見失いがちです。
必死になってやっていたら実はそれは目の前のお客様が求めていた”ジョブ”ではない。
そんなことが普通に起こりえます。
そんな自戒の意味でのブログでした。
視点も大事、データも大事、仕組みも大事。
でもそれ以上に目的は常に鮮明に。
いつも最後までご覧頂きありがとうございます。
Tom